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【大阪2023/3/5まで】『不思議の国のアリス』の世界へと迷い込む大規模展

あべのハルカス美術館で『アリスーへんてこりん、へんてこりんな世界ー』が開催中

現在、大阪・あべのハルカス美術館で『アリスーへんてこりん、へんてこりんな世界ー』が開催中だ(3月5日まで)。ルイス・キャロルが、知人の娘アリス・リドゥルとその姉妹のために即興で創作したお話をもとに、1865年に誕生した『不思議の国のアリス』。以来、現在に至るまでルイス・キャロルが紡ぎだした幻想的な世界と、ジョン・テニエルの挿絵が呼応した幻想的な物語が人々の想像力を刺激し、児童文学の世界に留まらず、美術、映画、舞台、ファッションなど、あらゆる分野のアーティストたちにも影響を与え続けてきた。

展示室内の様子

2021年にはイギリスのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)で、「アリス」の文化現象をたどる初の大規模展が開催された。本展は、そのV&A発の世界巡回に日本展オリジナルの作品を加えた約300点の作品や映像演出で、「アリス」の原点から今日に至るまでの歩みを紹介している。

ルイス・キャロル、本名チャールズ・ドジソンの軌跡から、この展示は始まる。オックスフォード大学での研究や、発明まもない写真機を使いこなしていた様子など、「アリス」が生まれる前のドジソンが躍動。写真には、「アリス」のモデルとなったアリス・リドゥルの姿もあり、モデルとはいえ「アリスは実在していたのだ」とぐっと親近感がわいてくる。

展示室の様子

物語が生まれたヴィクトリア朝の時代背景を紹介する展示も多く、ドジソンが猛スピードで産業化、グローバル化してゆく社会をどう捉えていたのかも伝わってくる。また、「アリス」を一躍、人気作へと押し上げた挿絵の展示も充実。挿絵を手掛けたのは、人気風刺漫画家のジョン・テニエル。彼の原画を目にすることで、さらに物語の源流へとたどり着いた感覚にもなる。そして、「アリス」をいかにして出版したのか、紆余曲折の道程が展示されており、完璧主義者だったというドジソンとテニエルの一面も知ることができる。

展示室内の様子

展示は2エリアに分かれており、続いては「ファッションや映画など、『アリス』がいかにさまざまなカルチャーに影響を与えたか」ということを展示するゾーンへと移るのだが、その通路は幻惑的な照明で彩られている。ここは物語にも出てくる「ラビットホール」をイメージしており、別世界へと誘う印象だ。

展示室内の様子

それまでのクラシカルな雰囲気とは打って変わって、「映画になったアリス」「新たなアリス像」「舞台になったアリス」、そして「アリスになる」というテーマごとに、過去から現在に至るまで、アリスが自由自在に姿を変えて目の前に現れてくる。

「映画になったアリス」では、初期のサイレント映画からディズニーアニメ、ティム・バートン監督作品など、映像や写真、アニメーションを通してアリスを紹介。中でも注目は、ティム監督自らが描いた19点のキャラクターデザインだ。彼がどのようにしてキャラクターデザインを生み出し、それらが作品において重要な役割を担っているかということも実感できる貴重な展示だ。

 

SHOMIのはなし

サイケデリック文化やテクノロジー、舞台、ファッションなど、多くのクリエイターが影響を受け、また、社会批判のプロパガンダにも使われていることもわかる。約160年前に生まれた「アリス」は、現代にいたるまで、その時代、時代を映す鏡となっていることも伝わり、いつの世も変わらない普遍的な物語であることをあらためて知ることとなった。

 

Text by Kazuko IWAMOTO

infomation

展覧会名
アリス -へんてこりん、 へんてこりんな世界-  
会場
あべのハルカス美術館   
会期
2022年12月10日[土]~2023年3月5日[日]  
開館時間
火~金 / 10:00 ~ 20:00、 月土日祝/ 10:00 ~ 18:00 ※入館は閉館30分前まで  
料金
一般 1,800円/大高生 1,400円/中小生 500円  
お問合せ
06-4399-9050(10:00 ~ 17:00)  

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