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規格外スケールの特別展、京都随一の巨大禅宗寺院「東福寺」の全貌が明らかに

京都国立博物館で10月7日から開催される特別展「東福寺」の記者会見レポート

京都国立博物館で10月7日から開催される特別展「東福寺」の記者会見がおこなわれ、同展を担当する京博の森道彦研究員ら関係者が見どころを語ってくれました。

見どころを語る京都国立博物館の森道彦研究員

京都を代表する禅寺のひとつであり、紅葉の名所として知られる東福寺。鎌倉時代、朝廷の最高実力者であった九条道家の発願で、中国の宋から帰国した円爾(聖一国師 1202~1280)によって開山されました。奈良の大寺である東大寺と興福寺からそれぞれ一文字とって命名された寺名からもわかるように、京都最大の大伽藍を誇り、禅宗文化の殿堂といえる国宝・重文を含む膨大な文化財を今に伝えています。

本展は、幾度となく戦乱が起きた京都で、戦火を免れた東福寺の門外不出、非公開を含む貴重な寺宝をまとめて紹介する初の機会(国宝7件、重文81件、全189件)。そして、東福寺を拠点に活躍し、「画聖(がせい)」と称された絵仏師・明兆(みんちょう)の代表作「五百羅漢図」全幅を修理後初公開します。

 

圧倒的スケールの文化財の数々!

約2メートルの旧本尊の左手、超巨大な観音図、日本一の巨大涅槃図

記者会見時の映像より(明兆による巨幅。重要文化財「白衣観音図」と重要文化財「達磨・蝦蟇鉄拐図」)

全5章で構成された同展について、大本山東福寺の寺務長・岡根方春さんは、「すべてが見どころ」と力を込めます。なかでも注目は、後世に「伽藍面(がらんずら)」と称された巨大伽藍を誇る同寺ならではの、圧倒的なスケールが体感できる超巨大な文化財の数々です。

明治期に焼失した東福寺旧本尊の巨大な左手

“新大仏”と呼ばれた同寺の旧本尊は、明治14年(1881)に本堂とともに焼失し、写真すら残っていませんが、唯一、約2メートル(217・5cm)もある巨大な左手が残っており、今回展示されます。さらに、明兆が描いた巨大な「白衣観音図(びゃくえかんのんず)」は、なんと高さ約3メートル(326・1cm)という規格外サイズ。

規格外といえば、他にも、日本一の巨大さゆえに博物館では展示できなかったという、明兆の大作「大涅槃図」(縦11メートル、横6メートル)が本展とともに東福寺で特別公開されます(11月11日~12月3日)。

 

初めて全貌が明かされる、伝説の絵仏師・明兆の大作「五百羅漢図」

記者会見時の明兆「五百羅漢図」の映像より

雪舟とともに「画聖」と並び称された明兆について、森研究員は、「長らく実態がつかめない画家だった。室町期の水墨画のキーワードになる人物」と説明。今回の特別展で改めて研究が進み、なかでも若き明兆の代表作とされる「五百羅漢図」(1幅に10人の羅漢を表し、全50幅ある)について、新知見も紹介されます。

全50幅のうち、東福寺に45幅(1~45号)、東京の根津美術館に2幅(48、49号)が現存し、2幅は戦国時代に焼失しましたが模写が残っています。幕末の海外流失よって行方不明だった1幅(50号)は、本展(東京展)の開催1ケ月前にロシアのエルミタージュ美術館に所蔵されていたことが判明しました。本展では、50号の下絵(東福寺蔵)とその復元をあわせた全50幅が展示されます。

ひと足先に

重要文化財「ニ天王立像」鎌倉時代・13世紀 東福寺蔵

6月13日より、京博の名品ギャラリー(平常展示)にて、像高3メートルを超える鎌倉時代の「ニ天王立像」(重要文化財/東福寺蔵)の先行展示がおこなわれています。ひと足先に同寺の壮大なスケールを実感してみては?

Text by Yuka IZUMI

infomation

展覧会名
特別展「東福寺」  
開催期間
2023年10月7日[土]~12月3日[日] 前期展示10月7日~11月5日 /後期展示11月7日~12月3日  
休館日
月曜日 ※ただし10月9日(月・祝)は開館、翌10日(火)休館  
開館時間
9:00~17:30 ※入館は17:00まで  
会場
京都国立博物館 平成知新館(京都市東山区茶屋町527)  
料金〈前売〉
[一般]1,600円 [大学生]1,000円 [高校生]500円 ※前売券は8月下旬から販売  
料金〈当日〉
[一般]1,800円 [大学生]1,200円 [高校生]700円  
お問合せ
075-525-2473(テレホンサービス)  

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