- インタビュー・コラム
- 2023-02-05 Sun
映画『BAD CITY』主演・小沢仁志さんインタビュー。製作総指揮・脚本を担当し、60歳の熱量を込めたアクション大作<後編>
自身を投影した、昭和エッセンス漂う主人公
小沢仁志さんの還暦記念作品として製作された映画『BAD CITY』。前編のインタビューでは、製作に至る経緯や「日本映画界の新たな武器を育成したい」という小沢さんの熱い思いをお届けしました。後編では、撮影現場での裏話を中心に話をお聞きしました。
前編はこちら
映画『BAD CITY』主演・小沢仁志さんインタビュー。製作総指揮・脚本を担当し、60歳の熱量を込めたアクション大作<前編>
――主人公・虎田誠を演じるにあたって小沢さんが意識されたことは?
虎田は、まんまナチュラルな俺だよ。あえていうなら、脚本の世界観を分かっているキャラクターだから、たくさん出演者がいる中で、ちょっと引いた存在にしようと思った。寡黙な昭和イズムの佇まいにしてね。画的にはアジアンテイストで、主人公は昭和イズム。動き出すと現代のアクションに変わっていくという。この繋ぎ方がすごく上手くいったんじゃないかと思う。
――撮影のために特別なトレーニングなどは?
日頃からトレーニングは欠かさずやっているけど、今回、格闘シーンや殴るシーンがめちゃくちゃ多いだろ。リアリティを出すためにサンドバッグを買って1年間ひたすら殴ってたよ。マウントでボコボコに。これは、やって正解だったね。後ろから撮ったシーンを見ても、本当は殴ってないけど、ずっと練習していたから説得力が出るんだ。
――撮影中は、お酒を一滴も飲まれなかったとか。
俺、昔から5日間徹夜で朝から夜までドンパチみたいな撮影ばっかりやってるじゃん。そういうのを続けていると、自然と脳内にアドレナリンが湧いてくるんだよ(笑)。このスイッチが入るとやばいよね。それで酒飲んだら勢いが止まるから、飲みたくもならない。撮影終わってホテルに戻っても寝付けないから、3時間ぐらいで起きてジムに行っちゃうんだ。
――劇中のアグレッシブな小沢さんを見ていると還暦を迎えていることを忘れてしまいますね。
俺は撮影最後の一週間、全部アクションだったんだけど、終わってからも全然余裕でさ。スタッフに「あと一週間同じことできるよ」って言ったら、「もう嫌です」って言われた(笑)。
――山口祥行さん演じる韓国マフィア、キム・スンギとの戦いも壮絶でした。
ヤマのあんな緊迫した顔、久しぶりに見たよね。あのシーンは、撮影前日から「明日、気合い入ってんだろうな。本気で倒しに来いよ」って言ってたからな。あいつも真剣だから段取りにない動きも出てきてさ。それで監督が、「お、いいですね。ここもフリーでお願いします!」って(笑)。2人で12時間ぐらい戦ってたよ。
――もうひとりのヒロインである壇蜜さんも抜群の存在感を放っています。
ゴリゴリなメンツの中に壇蜜がいることで、いい意味で浮いた感が出るんだよね。検察庁の検事長役である加藤雅也と話すシーンなんかも、ベテラン女優さんがやったら一体化しちゃう。それを壇蜜がやることによってアンバランスな感じが生まれて最高じゃんって。
――中野英雄さんと小沢和義さんが短い時間ながら登場するのも見逃せないところですよね。
もうキャスティングの枠が埋まったって頃に、ヒデから「兄ぃの還暦記念作品に出られないなんて嫌です。エキストラでもいいから出たい」って言われてさ。カズと一緒に後から役を作ったんだ。あいつらの場面見たら、「え、あれだけ!?」って思うだろうけど、そういう事情があったのよ(笑)。
九州小沢会や自治体も協力。福岡ロケの舞台裏
――今回、撮影の大半を福岡県で行われています。現場での撮影は、どのように進められましたか。
福岡の撮影では俺のファンクラブである小沢会の九州メンバーが協力してくれてさ。本当に助かったよ。福岡でのロケは大半が福岡市で撮ったものだけど、アクションパートなど主要な場面は結構、中間市で撮ってるよ。最後の戦いの舞台になったショッピングモールは、解体するところだったのを中間市の市長に「俺らの撮影が終わるまで残しておいてくれ」って頼んで工事を待ってもらったんだ。あの中で20分を越える大乱闘が繰り広げられるんだけど、アクションの吹き替えもなしでカメラ長回しにして、とんでもないことやってるよな(笑)。
――製作総指揮をされている小沢さんとしては、撮影場所を探すのも大変ですよね。
本当、綱渡りの状態だったよ。拘置所のシーンなんかは東京で撮影しようと思って場所を探したけど、イメージ通りのものがなくてさ。そしたら福岡にちょうど望んでいた感じの拘置所があって解体するという情報を聞いたんだ。本当はそこで撮影したかったけど許可が降りなかったから、解体で出る鉄格子とか便器とか洗面台をもらっていってね。中間市にある閉鎖した病院の中に、拘置所の一室をそのまま再現したんだ。鉄格子とか、立てかけるだけでそれっぽく見えるんだけど、きっちり工事して作り込んでね。中間市長も感動してたよ。
日本映画のアクションを変える、圧倒的な熱量を劇場で!
――『BAD CITY』で初めて本格的なアクション映画に触れる人もいるかと思います。そういう方のために鑑賞前の心構えなどをお願いします。
見るととにかく元気になる映画だと思う。それぐらいの熱量を持っているから。感じ方は十人十色だけど、俺と同世代の人も共感してくれて嬉しかったし、なにかしら熱くなってくれるんじゃないかな。この熱さを体感したいなら、とにかく劇場に来い! 「テーマパーク行きたいよね」って言ってVRじゃ満足できるないだろ。映画も劇場で見てこそだ。
――日本映画の武器になる人材を育てたいととおっしゃっていましたが、小沢さんご自身の展望はいかがですか?
今、海外の映画祭でも上映してもらってて、ポルトガル映画祭では3部門にノミネートされてるんだ。ディレクター部門もあるから、園村には、ぜひ賞を取ってもらいたいよな。だけど、日本映画だからさ、やっぱり日本でいちばん評価されたいよな。ハリウッドでも吹き替えなしでこんなことやるやついないんだから。同じことやってるのは、トム・クルーズぐらいだよ。もう、俺とトムで戦う映画作りたいわ(笑)。
――当メディアが関西のエンタメ情報を発信しているのですが、小沢さんと関西のご縁は?
関西は、しょっちゅう飲みに来てるよ。昔はミナミも行ってたけど、今はもっぱら北新地だね。年齢層も上だし、馴染みの店もあるから落ち着いて飲めるよ。あとは俺、ディズニーランドが大好きなんだけど、大阪ならやっぱりユニバーサル・スタジオ・ジャパンには行っておきたい。ハリーポッターが見たいけど、ちょっと遠いからな〜。行くなら、もう、あのへんにホテル取るしかないな。
||最後に、読者のみなさまにメッセージを。
『BAD CITY』、劇場に見に来いや! 映画は劇場で! 「配信いつ?」なんて野暮なことは聞くなよ!(笑)
Text by Takaaki ITO
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