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- 2022-07-24 Sun

この夏は大阪でフェルメールに会える
17世紀オランダ絵画の黄金期を代表するヨハネス・フェルメールの初期作品《窓辺で手紙を読む女》。修復後、画中に隠されていたキューピッドの絵が日本で初公開されている巡回展が大阪にやってきました! フェルメールが描いた当時の絵画を時を超えて味わえる本展は必見です。
本展の見どころはなんといっても《窓辺で手紙を読む女》。
ヨハネス・フェルメール 《窓辺で手紙を読む女》(修復後) 1657-59年頃 ドレスデン国立古典絵画館 © Gemäldegalerie Alte Meister, Staatliche Kunstsammlungen Dresden
所蔵しているドレスデン国立古典絵画館が、1979年にこの作品を海外へ貸出する際に初めてエックス(X)線写真を撮影したところ、白く塗られた壁にキューピッドが描かれたいたことを確認したのです。当初はフェルメール自身が塗りつぶしたとされていましたが、彼の死後、何者かによってキューピッドが塗りつぶされたことが判明。これにはビックリ!
時はさかのぼり…。
2017年から修復を開始。まず表面のニスを剥がし、さらに本来キューピッドが描かれていた部分を少しずつメスで削ります。その部分は1日1~2c㎡しか作業がすすまなかったというではないですか。考えただけで肩が凝りそうですが、少しずつキューピッドが現れる過程にボルテージも高まっていったはず。
ドレスデン国立古典絵画館の至宝70点に酔いしれる
レンブラント・ファン・レイン《若きサスキアの肖像》1633年
会場にはフェルメール作品以外にも名品がずらり。レンブラントがのちの妻になる女性を描いた《若きサスキアの肖像》をはじめ、オランダの風景や市井の人たちを描いた作品などから、当時の様子をうかがうと同時に、フェルメールの芸術が生まれた背景や関係性なども感じることができます。
絵だけではなく、豪華な額縁、大阪市立美術館のレトロな雰囲気と相まって、上品で優雅なひとときに酔いしれてください。
音声ガイダンスは小芝風花さん!
小芝風花さんとフェルメールの修復された作品《窓辺で手紙を読む女》
開幕前日の7月15日に開催されたメディアセッション・プレス内覧会には、音声ガイドナレーションを務めた女優・小芝風花さんが登場!
「音声ガイドの収録の時は、みなさんそれぞれが作品に抱く思いや感想を邪魔しないように、自分の感情を押し付けないように気をつけました。無機質になりすぎずに話すということが、少しむずかしかったです。
《窓辺で手紙を読む女》は、修復前と修復後との印象が全然違い、私は修復前も後も両方好きです。作品に描かれている、窓に映っている女性の横顔が手紙を読んでいる女性本人ではなくて、おばあさんのような気がしたので、手紙の内容が悲しい事や訃報が届いたのかと思いました。でも、修復後の❝キューピッド❞が現れた作品を見たら、このお手紙はラブレターかな?と印象が変わりました。
絵画に詳しくなくても、音声ガイドを聴きながら作品を観ると新たな❝気づき❞もあって展覧会が楽しめます。ぜひ!音声ガイドもご利用ください(笑)」
優しく聞きやすい彼女の声は気分を一層華やかにしてくれます。
SHOMIのはなし
フェルメールはもちろんのこと、どの作品も見ごたえたっぷり。私のお気に入りはヨセフ・デ・ブライの《ニシンを称える静物》。作品の中のニシンの皮はとてもつややか。ちょっと触ってみたくなるぐらい。
会場で、自分好みの1枚をぜひみつけてください。
左:コルネリス・デ・ヘーム《牡蠣とワイングラス(レーマーグラス)のある静物》制作年不詳 右:ヨセフ・デ・ブライ《ニシンを称える静物》1652年
Text by カワタユカリ
infomation
- 展覧会名
- 特別展「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」
- 会場
- 大阪市立美術館
- 会期
- 2022年7月16日[土]~9月25日[日]
- 開館時間
- 9:30~17:00(入館は閉館30分前まで)※9月3日、10日、17日、23日、24日は9:30~19:00(入館は閉館30分前まで)
- 休館日
- 月曜日(8月15日、9月19日は開館)
- 観覧料
- 一般/2,100円(1,900円)高大生/1,500円(1,300円)
- お問合せ
- 大阪市総合コールセンター なにわコール 06-4301-7285(年中無休:午前8時-午後9時)
※新型コロナウィルス感染症の流行状況により入場制限を行う場合があります。
※災害などにより臨時で休館となる場合があります。
※中学生以下、障がい者手帳などをお持ちの方(介護者1名を含む)は無料(要証明)。
※本展は、大阪市内在住の65歳以上の方も一般料金が必要です。